公論サポーター・メーリスから
『よしりん御伽草子』の
感想ご紹介です!!
“よしりん御伽草子”、非常に衝撃をもって読ませていただきました。自分が子供のとき、および自分の子供に絵本を読み聞かせしていたときに、フォークロア(民話や伝承)とはこんなにファンタジーな世界なのか?という素朴な疑問があったのですが、本著者である小林よしのり先生(以下、小林先生)の手にかかると、「ファンタジー幻想」は見事に打ち砕かれて、絵本とは、実は「人間の“業”とホラーの世界」であった、ということになります(衝撃を受けた!というのは、まさにこの部分を指します)。そして、著者自身が「今回の作品は、情報0!」と言われております。が、私見では情報は0かもしれませんが、やはり「思想」は200%ということになると思うのですが、いかがでしょうか?しかも、それを文章の論理ではなく、絵で表現しているところが素晴らしい!と、自分は思います。
以下、個別に見ていきます。
「かぐや姫」が、実は傾国の美女で流刑されていた~!というのは、ものすごい解釈でした(しかも、そこに「最終フェイス」のパロディーが入ってくるのが、たまりません)。
「かさじぞう」。年末の年を越す時期になると、私、なぜかこの話を思い出してしまうのですが、まさか親切なおじいさんとおばあさんが、教祖さまのようになってしまうとは!人間の肌以外はすべて“白黒”、というカラーが非常に印象的でした(特に、地蔵たちが立ち上がるときのコマが、漫画太郎やしり上がり寿の絵を彷彿させる迫力があって、漫画読みとしては、密かな楽しみがありました)。
ある意味、一番衝撃を受けたのが「ばば汁子守歌」です。絵本においては、正直「こんな話あったっけ?」というくらい印象が薄かったのですが、これが「かちかち山」の導入の話ということがわかったのは、大きな収穫です。この作品のみ、唯一小林先生の体験を通しての語りとなりますが、私、狸がおばあさんを撲殺するあのシーンに、ホラー漫画ファンとしての“戦慄”を覚えました(是非、手に取ってみてほしいのですが、あのコマの狸の表情(?)は、真のサイコパスなのでは?と、個人的には思わせるものでした)。この話を聞いている小林先生の恐怖の感情表現も非常に見ものであり、“やはりこの方にホラー漫画を描かせたら、すごいものができるかもしれない!”と思わせるおもしろさでした。
「かちかち山」は、非常に絵本的な色使いが、斬新でした。まさか、あの話が「あやまったら死ぬ病」と解釈されるとは思ってもいなかったので、表現とは無限の可能性があるのだな、と改めて思いました。
「ももたろさん」は、ある意味とてもファンタジーな要素が強い絵本の物語でしたが、この作品はそれを打ち砕いて、見事に人間の“業”というものを表現されていると思いました。
「うらしまたろさん」も、ファンタジーな要素が強い絵本の物語だと思っていましたが、
竜宮城では、「ブスでも比較するものがなかったら、すべては同じ!」という表現はなかなかシュールです。でも、結局のところそんな非日常には耐えられず、主人公(多分吾作likeな方)は竜宮城から抜け出て、玉手箱も開けてします(この部分の小林先生の解釈(あるいは表現)に、意外さを感じました。でも、人間の業というものは、結局このようなものなのかもしれません)。
以上が、一読した後の率直な感想になります(でも、この本は何度も読み返すと、絵で表現されている分、新たな解釈が生まれてくるのだろうと思います)。
(基礎医学研究者さん)
「これまでのわしの作品中、
最も字が少ない!」と
よしりん先生自身が言ってましたが、
言葉だけでも無敵の表現ができる
よしりん先生が、あえてそれを最小限に絞って
絵による表現で今までにない、今まで以上の
世界を創作している、この凄さ!
もっと多くの人に知ってもらいたい!!
書店で見つかりにくい場合は、
こちらで!!